ペットの臭いが壁に染みつく本当の理由

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去年の秋、猫を飼っていた入居者が退去したあとの部屋に入ったとき、正直、声が出なかった。

消臭スプレーはしてあった。換気もした。でも、ドアを開けた瞬間に「あ、ここは猫の部屋だ」とわかる。あの感覚、マンションオーナーをやっていると何度も経験する。

最初の数年は、単純に「においが残ってるんだろう」としか思っていなかった。消臭すれば消える、そう信じてた。でも消えない。1週間後に来ても、1ヶ月後に来ても、なんとなく漂ってる。

これ、壁の話をしないといけない。

ペットのにおいの正体は、揮発性の有機化合物だ。要するに、気体になって空気中に漂う「においの粒」みたいなものだと思えばいい。この粒は、壁紙の表面で止まるわけじゃない。壁紙の継ぎ目や微細な穴から、内側のボードにまで染み込んでいく。

料理のたとえでいうと、木の菜箸にカレーのにおいが移るのに似ている。表面を洗っても、次の日にはまたカレーのにおいがする。あれと同じことが壁で起きている。しかも、壁の内側は洗えない。

さらに厄介なのは、温度と湿度が上がるとにおいが「戻ってくる」ことだ。これは本当に長い間、意味がわからなかった。冬にリフォームして「よし、消えた」と思っていたら、翌年の梅雨時期にまた出てくる。何度やっても同じことが繰り返された。

仕組みを知ったのはかなり後になってからだが、壁材の中に吸着したにおいの成分は、熱や湿気によって再び気化する。要するに、夏になると壁が「においを吐き出す」状態になる。壁紙を貼り替えたとしても、下地のボードまで汚染されていれば意味がない場合がある。

以前の自分は「壁紙を替えれば解決」と本気で思っていた。実際にそれで費用を無駄にしたこともある。あれは痛い経験だった。

ペットを飼うこと自体は悪いことじゃない。ただ、においの問題は「表面だけ処理すれば終わり」という話じゃないということを、オーナーとして何度も実感してきた。壁の奥に染みたものは、表面をどれだけ拭いても出てくる。

うちの壁って、そういう状態になってたの? と気づいてほしいのはそこだ。

→ もっと詳しく知りたい人は研究記事へ

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